IEEE802.11acの情報が出てきたので、どんな仕様になっているのか少し調べてみました。
データレートは以下の計算式で計算できます
Data Rate(Mb/s) = (NBPSCS×NSD×NSS×R)÷(3200ns+GI)
- NBPSCS … シングルキャリアあたりのビット数
- BPSK: 1
- QPSK: 2
- 16QAM: 4
- 64QAM: 6
- 256QAM(11ac): 8
- NSD … データ信号用サブキャリア数
- 20MHz帯域(11a/g): 48
- 20MHz帯域(11n): 52
- 40MHz帯域(11n): 108
- 80MHz帯域(11ac): 234
- 160MHz帯域(11ac): 468
- NSS … 空間ストリーム数
- R … 符号化率
- 1/2, 2/3, 3/4, 5/6 (5/6は11n以降)
- GI … ガードインターバル長
- 800ns
- 400ns (ショート・ガード・インターバル、11n以降)
11acの新要素としては、
- サブキャリア変調: 256QAM
- 帯域幅: 80MHz、160MHz
- MIMO空間ストリーム数: 最大8
となっていて、単純に11nのパラメータが拡張された規格になっているようです。(11nの時のMIMOの様なまったく新しい要素は入ってくることはさすがに無かったようです。)
よく見かける転送速度の計算例。
- 11a/gの最高速度(64QAM, NSD=48, NSS=1, R=3/4, GI=800ns)
- (6×48×1×3/4)÷(3200ns+800ns) = 54Mbps
- 11nの必須要件最高速度(64QAM, NSD=52, NSS=1, R=5/6, GI=800ns)
- (6×52×1×5/6)÷(3200ns+800ns) = 65Mbps
- 11nで40HMz帯域、2ストリーム、ショート・ガード・インターバル (64QAM, NSD=108, NSS=2, R=5/6, GI=400ns)
- (6×108×2×5/6)÷(3200ns+400ns) = 300Mbps
- バッファローのWZR-D1100H (256QAM, NSD=108, NSS=3, R=5/6, GI=400ns)
- (8×108×3×5/6)÷(3200ns+400ns) = 600Mbps
- 11acの必須要件最高速度 (64QAM, NSD=234, NSS=1, R=5/6, GI=400ns)
- (6×234×1×5/6)÷(3200ns+400ns) = 325Mbps
- 11acの現実的な最高速度 (256QAM, NSD=234, NSS=4, R=5/6, GI=800ns)
- (8×234×4×5/6)÷(3200ns+800ns) = 1560Mbps
- 11ac規格上の最高速度 (256QAM, NSD=416, NSS=8, R=5/6, GI=400ns)
- (8×416×4×5/6)÷(3200ns+400ns) = 6933.3Mbps
なお、上記の転送速度は物理層(PHY)での速度なので、よく知られているようにMAC-SAPやTCP層などの上位層ではもっと遅い速度になります。